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健美論

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健康と美容は、あなたの人生を豊かにHappyにするためにあります。でも、多くの方はその「やり方」にばかりに目を奪われて、「あり方」について語られることは少ないように思います。
ここでは、僕が大事にしていることについて書いています。最後まで読んでもらえるとうれしいです。

僕は、健康と美容のあり方として、「今よりちょっとだけ自分を好きになる」ってことを患者さんへの目標にしています。
健康的な美しさってなんだろう?
と考えたときに、僕はコンプレックスはあるし、悩みもあるけど、それを含めて自分を好きでいれる。
自分に自信が持てるってことだと思います。

当院に美容鍼の予約で来られた30代女性の患者さんがいました。
シワやたるみが気になるのです。と言われます。
僕は、普段どんなケアや気を付けていることはありますか?と尋ねると、
患者さんは、「コンビニ弁当を食べないようにしている」と言われます。
どういうことですか?と質問すると、
患者さんは、
「コンビニ弁当が大好きなんだけど、周りからそんなものばかり食べているから、老けてみえる。健康に悪いから食べるのをやめろ。」と言われたとのこと。
そんな話をしていたら、患者さんは急に泣き出してしまいました。
確かにコンビニ弁当ばかり食べるのは、健康的とは言えないかもしれません。
でも僕は、そのせいで彼女の心が病んでいると感じました。
だから僕はまずは彼女の心のケアが必要だと感じ、どうしたらいいか?を考えました。
大きく選択肢は2つあります。
1つは、コンビニ弁当は健康に良くない。だからこのままがんばっていこう。と言う。
もう1つは、そんなに自分の好きなことを我慢するのも健康に良くない。好きなことは我慢しないで済む方法を考えよう。と言う。
でした。
ぼくは後者を選びます。

健康も美容も、何かを我慢して手に入れたものは、持続しません。
なぜなら我慢はいつか限界がくるから。
でも好きなことなら続けられます。
コンビニ弁当は好きなら、その中で健康的なメニューを作り、好きなことをしながらキレイになる方法を考える方がいいと思います。

でも多くの方は、体の痛みや肌の悩みなどがあると、自分を傷つける言葉を言ったり、否定するような言動が多く見受けられます。
自分の足は太いから、細くしたい。
年をとったから、体が痛くなる。
といったように、今の自分を否定してしまいます。

自分の大切な人には言わないようなことも、自分になら言えてしまいます。
こうした「あり方」では、鍼灸や美容ケアを行っても、満足できません。
なぜなら「今の」自分を否定しているから。
今の自分が変われば、未来は明るい。って思うのは幻想です。
いつまでたっても、今の繰り返しなので、今の自分を否定することから抜け出さないと、無限ループにはまってしまいます。

ちょっと痛みが軽くなる。 ちょっと肌が明るくなる。
そのちょっとを繰り返しながら、今の自分を認めてあげる。
すると、少しずつ健康や美容が、自分の求めるHappyにつながってくると思います。

とは言っても、シワやたるみといった悩みは、多くの方にあります。 改善したいと思う気持ちも分かります。 シワやたるみは、紫外線などの影響もありますが、体の使い方などの影響も大きいということは、
余り知られていません。

顔の肌だけなんとかすればいい。
と思われるかもしれませんが、
心のあり方を定めて、生活習慣や体の使い方を見直しつつ、肌のケアをすると変化を少しずつしてきます。


8割を刺激するにはどこに注目するのか?
当院では、おでこと口唇と耳を特に大切にしています。
その理由を説明します。
- おでこ(額)
額には前頭筋と呼ばれる筋肉があります。
顔の表情筋は、前頭筋にぶら下がるように付いています(大まかに言うと)。
ですので、前頭筋が垂れ下がると、顔の筋肉も垂れ下がってきます。反対に前頭筋が引き上がると、顔の筋肉全体が引き上がります。
そのため、表情筋の支柱的な役割になります。
- 口唇
口の周りには、口輪筋と呼ばれる筋肉があり、いくつもの筋肉が口輪筋の周りに集まっています。



口輪筋の周りにある筋肉が使えていないことが多いため、これらの筋肉を刺激するには、口唇の刺激が最も効果的で、表情筋の体幹部と言えます。
最近ではテレビなどでも、インナーマッスルを鍛えなさいや体幹を鍛えなさいと言われますが、顔の場合は口唇がそれになります。
- 耳
耳の周りにも頭の筋肉や顔の筋肉などが付着します。
また耳には迷走神経と呼ばれるリラックス神経がありますので、天気が悪いと痛みがでる、頭痛がでる、気分が落ち込むなどの際には、耳を刺激することで、症状が緩和されます。

この他、顔の筋肉を動かす神経(顔面神経)も耳の後下方を通りますので、表情筋にとっても、耳を刺激することで、顔の筋肉が刺激されます。



おでこや口唇、耳をまずはしっかりと観察して必要な刺激を入れることで、使えていない8割の筋肉にスイッチが入ります。そのために顔のエステや美容鍼灸などはスイッチを入れるのに効果的な方法と言えます。ですが、顔だけを刺激しても、しばらく経つと元に戻ってしまうといった経験はないですか?

残念ながら、脳は長年の習慣による体の使い方を記憶してしまい、間違った状態(スイッチをオフにする状態)を正しい状態だと認識してしまい、間違った状態に戻そうとしてしまいます。これは年のせいではなく、体の記憶が間違っているのです。

ですので、記憶を塗り替える作業が必要となります。これは決して簡単なことではありませんが、記憶の上書きは可能です。
次の章で上書きする方法の一部を紹介します。



ここではいくつか体の使い方を紹介します。
シーソーの中心が体幹だとすれば、中心からシーソーを動かすのは大変ですが、端からなら簡単に動かせるように、体の使い方には、手や足、頭の使い方を変えていけば、体幹が変わり、表情筋の使えていない8割のスイッチが切れにくくなります。





では、もう少し具体的に書いてみます。

まずは足をみてみましょう。
自然に立っている状態で、足裏のどこに体重の重みを感じますか?
小指側?踵?親指?など様々かと思いますが、
実は、足裏の筋肉が上手く使えないと顔がたるんできます。
体には筋肉を包む筋膜というものがあり、その筋膜はいくつかのグループに分けられるとされています。これをアナトミートレインとか筋連結と言います。



その中の1つに足裏⇒ふくらはぎ(腓腹筋)⇒太ももの後ろ(ハムストリング)⇒脊柱起立筋⇒前頭筋とつながる道筋があります。
第2章で書いたように、前頭筋に表情筋はぶら下がっており、前頭筋がたるむと表情筋もたるむと書きましたが、前頭筋がたるむ理由の1つに足裏の使い方を間違えるということがあります。

ですので、足裏が上手に使えていないとどんなに高価なエステを受けようと、美容鍼灸で顔だけ刺激しても、しばらくしたらまた元通り(スイッチが切れる状態)になってしまいます。

その他にも、皆さんは携帯を掴むとき、車のハンドルを握るときなどに、手のどの指から触れていますか?
親指が当たっていると答えた方は、猫背や巻き肩になっていませんか?

実は先ほども紹介したアナトミートレイン(筋連結)では、親指から出ている筋膜は、力こぶを作る上腕二頭筋を通って、大胸筋という胸の筋肉に付いています。

ですので、親指を使うと知らず知らずの内に肩が前に出て、猫背姿勢になっていきます。こうした姿勢は目尻のシワやたるみ、顎のゆがみ、口角のたるみなどと関係してきます。

反対に小指側や手の甲から出る筋膜は、背中側を通り、肩甲骨の可動域を拡げてくれる働きがあるので、猫背や巻き肩になりにくく、顔のしわやたるみの予防・改善につながります。





ここまでお付き合い頂き、ありがとうございます。

健美論の締めくくりとして、美容鍼灸について少し触れたいと思います。
われわれ施術家は、皆さんが健美への道(=健美道)を逸れないようにするためにいます。
どこを意識して変えていけば、ケガや病気をしにくくなる体の使い方が出来るのか?そして、その結果、美顔になっていくのか?を考えサポートするのが美容鍼灸です。

テレビや雑誌、SNSなどで顔に100本の鍼をしたりしていることもあります。決してダメではないですが、多くしたから効果も大きい訳ではありません。
見た目のインパクトはありますが、使えていない8割の表情筋を効率よく刺激することができれば、100本でも10本でも同じです。
そして、顔だけをするのではなく、ここで書いてきたように顔につながる様々な体の使い方を鍼や灸、マッサージ、運動で矯正することが必要不可欠です。

そうすることで、間違った記憶の上書きが少しずつ可能となってきます。
あとは皆さんの健美への意識が芽生え、それが無意識にできる頃には、皆さんの中に健美が備わっているはずです。

「意識することから健美は始まる」

最後までお読みいただきありがとうございました。